非正規雇用のストレス
2002年5月11日 更新
勤労者の25%はパート、派遣、契約など正社員、正職員ではない非正規雇用です。その是非は別として、こういう非正規雇用のストレスを考えてみましょう。
目次
1)期待されすぎのストレス
2)なりきれないストレス
3)長時間勤務のストレス
4)答えにくいストレス
1)期待されすぎのストレス
幸か不幸か、非正規の皆さんの多くは正規社員のあとを埋めるわけです。
総額人件費抑制の旗のもと、多くの正社員がリストラされ、出向し、早期に退職したあと、そのポジションを補っていく。
皆さんの多くは、正社員と比べて、ずっと安いお給料なのを覚悟して
就職したはず。
正社員ほどのDUTYつまりは責任を負わずにすむから・・・。
・・・正社員は激しい自己責任のもと、申告した目標はサービスしてでも達成する義務がある・・・でも、そういうのは、しんどい・・・つい最近までそういうことしていたから。
で、疲れ果てて辞めた・・・・そういうかたもおいででしょう。
もちろん正社員のポストがあればチャレンジしたい人もいるでしょう。
でもそういうポストが空いていない現実と、働かなければならない事情から、派遣や契約、パートになった。
そうでしょう! そういうはずだったのに
いつのまにやら、そうではなくて・・・
まるで正社員のように働いている!
この不思議な現実!
どうしてこんなに責任をとらなきゃならないの?
それは覚悟してきたけれど、ここまでしなければならないの?
正社員ほどのプレッシャーはナイと思っていたのに、期待のされすぎで、
正社員とおんなじパフォーマンスではたらくストレス!
2)なりきれないストレス
でも、正社員として採用されたわけではないから、ちゃんとした教育を受けていないでしょう?
一応マニュアルはあるけど、そーゆーの読んで仕事がやれるわけではない。
ある派遣の女性が言いました。「社員さんがすごく忙しそうにしているから、つい気を使ってしまい、その場で質問できないで、不安な仕事の1日をすごしてしまったんです!」
先輩あるいは社員さんは、凄い目つきでがんばっている。
早く追いつきたいけれど、仕事のやり方がよくわからない!
誰も優しく教えてくれるわけではないから、先輩たちの動きを見て覚える。
でも訊かなければならないこともあるから、質問したい!
でも誰に聞けばいいの? 聞いたら馬鹿にされないかな?
そうそう、ずいぶん昔ならったことわざ「聞くは一時の恥、聞かぬは一生の恥」
理屈ではわかっているけれど、質問しにくい職場の雰囲気ではありませんか?
結局毎日が、いっぱい、いっぱいで、なりきれないストレスはありませんか?
3)長時間勤務のストレス
日本のパートタイマーの1割はダブルワーク、つまり1日に2つの職場で働いています。
管理人は先日、風邪が治りにくいといって受診された48歳の女性を診察しましたが、要するに過労でした。彼女は9時から5時までスーパーではたらき、21時から0時まで居酒屋でバイトしていたのです。
それは何も彼女が借金を背負っているからではなくて、時給が安すぎるから、ダブルワークをせざるをえないのです。
安い時給つまりは、長時間勤務。
長時間勤務は安い時給というわけ。
これはストレスの原点、ストレスの王様です!
時給が安いことが、そのままで心のストレスになる場合もありますが、
長時間勤務そのものが、うつ病をひきおこすストレスになることは
他のページや「職場のメンタルヘルスがとことんわかる本」などで繰り返し述べたとおりです。
問題は、ダブルワークの場合、使用者の安全配慮義務について考えようとしても、2つの職場で働いているから、それぞれの職場の管理者には、度を越した長時間勤務と見えないことにあります。
参考)
職場における自殺の予防 厚生労働省のコメント(黄色い字部分)をぜひとも参照してください。
このように非正規雇用の場合、長時間勤務が心に及ぼす悪影響をコントロールしようとする上で、大きな問題があるといえましょう。
4)答えにくいストレス
3)の逆ですが・・・
パートの方が多い職場では、パートの皆さんが新人の質問に答えないと、仕事はまわらないですよね! でも、でも「きかれたって、このワタシだって良くわからないのに・・・自分ではできるんだけど、どうやって説明したらいいのか、わからなくてイライラしちゃう」と感じませんか?
社員さんや先輩から、「何でちゃんと教えなかったの?」といわれたら悲しくなってしまいますね
もうとっくの昔にに社員さんから聞いているはずのことを、質問されることもある。
「え、どうして? どうしてワタシが説明しなきゃならないの? こんなに忙しいのに!!」
忙しいときにそうなったら、思わず「そんな事も知らないの?」と言ってしまい、相手の顔が悲しそう、みじめそうになったのを見て、あなたもいやな気分になったことはありませんか?
こういうのを「答えにくいいストレス」といいます。
つづく
HOME