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4月30日 水棲タヌキ?

 友人と一緒に北海道は支笏湖畔の丸駒温泉というところで、ささやかなリフレッシュをした。自ら蒔いた種とはいえ、業界誌の原稿を短期間に書いたので、肩が凝ったから。この温泉は安心できることに循環式(濾過式)ではないのだ。大正8年の創業で、「丸駒」のいわれは、昔、怪我をした、道産コ(馬のほうです)が入ったからという。夕暮れの空に風不死岳(ふっぷしだけ・・・写真)が望める。実を言うと、温泉はチョット(大黒摩季)苦手で、それは低血圧のせいで・・・すぐ上せてしまう。だから旅館の庭をぶらぶらしていた・・・もちろん酔眼で。
*注 丸駒温泉はマジおすすめですよ!

 見ると、30mほど向こうの庭の上にパンダのような奇妙な動物がいる。

これはきっと陸に上がった水棲タヌキだと
根拠もなく確信した! 
水棲タヌキ(学名 Raccoons aquas nippon またはAlientos nigricans)というのは、例の21世紀初頭に発見された生物学者にとっては、まるで夢のような新属新種。ここ数年のペットブームで、密漁(猟かな?)による全滅が危惧されている希少種。13000年前、支笏湖ができたころ陸封され現在に至っているという。推定生息数は20数匹で、平均的な個体の体長は60cm、体重は個体差があって3kgから15kgという。食性は雑食で藻と桜マスしか食べない贅沢者。天敵は淡水鮫とされており、両者がこの湖の食物連鎖の頂点に立ち、ここ数千年、覇権を争っているらしい。
らしいというのは、いまだ誰も確認していないから。

 水棲タヌキと陸生タヌキのDNAは0.05%しか違っていないらしいが、わずか10000年の間にこれ程DNAに変異がおきて、水棲タヌキまで進化が起こったとは到底考えられず、21世紀の謎といわれている(以上の解説は北海堂新間の日曜版夢想欄から)。

 謎と不可思議、そして夢と三拍子そろった水棲タヌキを、我がデジカメ(FinePix 40i)で激写できたとは、何たる幸運!

ちなみに管理人は淡水モノが好きで、家の60cm水槽(もちろん脳の中にある)には、6cm前後のこげ茶色のプチ淡水鯨が群泳している。水槽内での繁殖は比較的容易だけれど、水質とくに亜硝酸濃度が少しでも高くなると、斑点病を起こしやすく注意が必要だ。この前、白い斑点のできたのがいて、急いで45cm水槽に隔離しようとしたが、自然に繁殖した斑プチ淡水鯨(ぶちぷち、語呂が悪いなあ!)とわかって、一安心。
この頃仕事が忙しくて、餌(ブラインシュリンプ)をやり忘れるので、怒って水草を食いちぎるのが数匹いて、なだめるのが大変です!  
** 注 現時点では、プチ淡水鯨をお分けする予定はありませんのであしからず。


4月11日 自作の魂 その1

 講演の帰り、新幹線車中で飲んだワンカップ半分のため、ほろ酔い加減で秋葉原に下りたのがいけなかった。
例のメチャ綺麗なケースが視野に入ったのだ! ミラージュ(蜃気楼)という名のパソコンケースは、今流行の超小型。でもIEEE1394とかヘッドホン端子が前面パネルにあって使いやすい。去年の秋、役目を終えた爺パソコンを、ファウスト博士のように若返らせるには絶好のアイテム。

 Pentium V 500MHZというかなり時代遅れのCPUだけど、ハードディスク30GB、メモリ512MBを乗っけて、WINDOWS Meで走らせれば結構使えるはず。


ほろ酔い加減、ワクワクで生まれて初めてパソコンを
自作する。
こういうのを「衝動自作」という。
2時間ほどでできあがった! 
「なんだ、プラモより楽じゃんか!」

でも電源を入れると、この子はピーピー泣き出した。
できちゃった婚で生まれた、泣きやまないわが子に
あわてる母親のように焦った!

「このピーピー音(警告音)はどうすれば止まるの?」
私は取扱説明書を読み返したが、

そんな時のことは書いてない。

「ああ衝動買いしなければよかったのに」と悔やんだところで、ピーピーは続き耳が痛くなる。思い切って電源スイッチを押したが、電源は落ちない!!

完全にパニクッて、今度はわが子を虐待する。グーっと指先に力を入れてスイッチを押しっぱなしにしたら、何のことはない、すぐに泣きやんだ。「何だ、4秒以上抑えないと電源は落とせないんだ」

こういうピーピーのときは、部品の接触が悪い、ということをようやく思い出し、メモリを点検するとちゃんと挿したつもりがズレていた。挿しなおしたら、こんどはピーピー泣かなくなった。
急に自信が出て、あれこれ、すすんだ。

今日は日曜の夜、遅くても11時に終わるだろう、との予想は見事にはずれ、午前4時半ようやくわが子ミラージュができあがった。腰は痛いし(愚かにも、畳にすわって無理な姿勢で作ったのだ!)、眼はしょぼしょぼした。
そういえば今日は新患外来だった!

4月12日 自作の魂 その2

三島の4月というと、日によっては初夏。 のどが渇く暑い日こそ泡の出る飲み物!


で、例によって例のことをはじめる。
スーパーに行って、500mlの果汁ジュースを買うのだ。
しかし、そんなものを飲んでも申告した目標は達成できない。

果汁ジュースに砂糖を適当な量混ぜて、カメリアダイアモンドいや
ドライイーストを小さじ半分ほど入れて

フタをごくゆるくして(強く締めると爆発するかも)3日ほど放置しておく。
泡の出る飲み物になったことが、この写真でおわかりでしょうか?
かなりパンくさいですが十分実用(!)に耐えますよ。



4月 2日 新人職員研修会

 ついに、この日が来た! 今日は初めて新入職員を相手に90分メンタルヘルスのレクチャーをした。
それも、当直明けの少しボーっとしたアタマで、ちょっと興奮しながら。興奮というのは、寝不足のときはどうしても興奮するというか、抑制が外れてしまうのだ。

 それに昨日から待望の副院長。同僚や後輩ドクターのサポートのおかげで、とうとう院長を降りることができてたのだ(これ読んでいるあなた、驚いた?)! 

みんなアリガトウ! 
これで職場のメンタルヘルスの研究にもっと時間をかけることができる。

それはともかく、業界の人にきいたら、ここ2〜3年で新卒のナースが大変だ! そうだ。
学校での実習が削られて、患者さまに接した経験が余りなくて、はじめて受け持ち患者さまが亡くなるとショックで自信喪失、やめてしまう人も出るそうだ。
それは初々しいのではなくて、もろい!
なんで最近の若い人たちがもろいのか、考えてすぐさまHPにアップした。もうかなり更新していないこともあるし

にしても、こんなにたくさん採用して大丈夫かな? とも思う。
今年度は小泉改革の激しい痛みが襲ってくる。日本各地の多くの医療機関はまじめにやっていても、凄まじい赤字に苦しむはずだから・・・
まあ、矢田亜希子さまなら「大丈夫! 大丈夫!」といってくれるはずだが・・・



3月10日 献血と塩トマト
 
 カラダが重たい! それもそのはずで、昨晩家族とCという安くて美味しい中華料理屋へ行ったのだ。
中華大好き! の家族につられて今流行の石焼ビビンバとか、トリの唐揚げの何とかソースかけ、などというのを腹いっぱい食べてしまった。

 この重たさを即効で解消するには、「献血しかないゾ!!」というわけで、腰に悪いのも承知でノートパソコンから着替えまで入った重いリュックサックを背負って家から4キロを歩いた。空はあくまで青く明るい。
まさしく献血日和だと思う。歩けば汗ばむほどの小春日和に、のどの渇きは献血センターへの歩みを速める。

「なにせ、あそこは清涼飲料水を飲み放題だからな」と心がささやき、
「今日のお土産は何だろう? 歯磨きセットはもう飽きたけど」と期待に胸が躍る。
 
 ビルの6階、明るくこぎれいなフロアで、18G(注射針のサイズ)の、ど太い針を刺されるが、献血では不思議なことにちっとも痛くないのだ。ナースは7〜8人もいて、ドクターもまじめに巡回している。成分献血をしている人も7〜8人。何とベッドごとに液晶テレビがあってひとり笑いしている若者もいた。

 残念ながら私のような400mlの普通の献血用ベッドにはテレビはない。仕方がないからMDで「Sanba Do Aviao」(バーデン・パウエル)を聴いていると、4分の曲が終わる頃、献血も終わった。さあ、それから例のタダの自販機に駆け寄って、冷えたお茶(ブランドは忘れた)を3杯飲んだ。

 カラダが軽くなって、合計8キロ以上歩いた。がんばって歩いた自分へのごほうびは、塩トマトとルッコラのサラダだぞ〜!
デパ地下でルッコラ(100円、)塩トマト8個(280円)、サラダ用ホウレン草、エシャロット(150円)、
きゅうり(100円)を買って自作した超豪華な(私としては)サラダだ。ドレッシングはかけないで、クレイジーソルトとネギ油を少々かけた。塩トマトの断面はとっても綺麗なのだが、デジかめ写真をそのまま貼り付けるとページが重くなるので、画素数を落としてあるから、美味しさが判らないかもしれない。

塩トマトとルッコラのサラダ  献血のお土産
塩トマトは(微妙な数値の)塩分の含まれた畑で、たまにしか獲れないらしい。しかも寒い季節にしか獲れないとゆーわがままな野菜。甘さが半端じゃない極上の塩トマトは糖度が12度以上(みかんに匹敵)で、果物みたいな甘さで、塩のしょっぱさがその甘さを引き立ててくれる。
けん@やさい」さんのサイトから
 ちなみに三島には「塩トマト研究会」というのがあるのだ。




3月 5日

 腰が痛い! 去年の7月に坐骨神経痛が始まったとき、 整形外科のU先生に診てもらったのだけれど、腰椎の写真には驚いた! 「何コレ! まるで爺さんの写真じゃん!」と私は自分のレントゲンを見て思った。
農業を50年間続けてきた75歳の老人のように骨棘がしっかりできている。


 5年もの間、重いリュックサックを背負って歩き続けたためか? コルセットを作るほどではなく、お馴染の金具の入った腹巻、サクロフィックスを巻いたらすごく楽になった。でもなぜこんなになったのかといえば、去年の9月すぎから、原稿書きがふえた上、このホームページづくりが始まったからだ。医者の不養生で、ついつい何時間もモニタに向かってしまう。


 どういうわけかアクセス数が気になるのだ! 
マイナーで地味な中身、患者さまが読むようなものではない。
あえて職場のメンタルヘルスと銘うったけれど、カウンターが増えないと支持されていないのか、と心配になっちゃう。ネカマやって「アンナ先生のホームページ」・・・鈴木安奈(33歳、女医、心療内科)とやって妹の写真でもアップしたらどうかな? など、よからぬ事を考えてしまって恥ずかしい!


 いくらでもコンテンツはあると思ったけれど、毎週のように講演内容のような文章をつくるのもしんどいのだ。それに診療もあるのだ。心療内科の方ばかりではない。花粉症の季節で患者さまが増えてる。いくらお待たせしないように手早く診察しても1人6分! 肺炎、糖尿病、めまい、喘息、大腸ポリープ、もう何でも診ないとやっていけない! ああ、そうだこのHPの話だっけ。 昔の患者さまのエピソードをエッセイ的に、というテもある。でもそういうのは、大先生のやることだなア、私はまだまだ未熟だから、「10年早い!」といわれそうだ。


 でもエッセイ風に書きたいことは、たくさんある。だから、このページをそう作るかな?


3月 1日

 ああ、よく眠れる。 
前の晩10時半に寝て、今朝起きたのは7時半。 去年の11月原稿に追われて、不眠症もどきになった頃とは大違い! その頃、「面白くて寝たくない!」で、眠れなかった。最近はぬるいお風呂にまず入って、だんだん暖かくしていく。風呂の中では小説を読むのだ。眼に悪いのはわかっている。でも私の目の玉だ。 


 スタニスワフ・レムの「ソラリスの陽のもとに」(ハヤカワSF文庫)を読みながら、すっかりそっちの世界に行く。旧ソ連のタルコフスキー監督作品「惑星ソラリス」の主演女優、ナターリヤ・ボンダルチェクの凄まじい演技と美貌を思いだすのだ。液体酸素を飲んで自殺をはかった可哀想なハリーが、凍りついた死から蘇り、痙攣しながら蘇生する3分間の演技は圧巻だった! レムはポーランドの国民的大作家でノーベル文学賞をとりそこねた男。この作品は屈指の恋愛SF小説だと、私は思う。


 あと最近、風呂の中で読むのは吉村作治さんの「ファラオの食卓」。
生まれ変わったら、古代エジプトに行ってみたい! 
というのはその頃の名物は無花果と石榴なのだ。こいつらは私の大好物で、夏になると毎日のようにイチジクを喰うのだ! 3個ぐらいにブルガリア・ヨーグルトをぶっかるとうまい! 


 それからエジプト料理はなんといっても豆! でもレンズマメとかヒヨコマメは残念ながら食べたことない。 私の冬の夕食は3日に2日は雑炊で、干し大根やニンジンを入れる。その中に東北地方で食べる「押し豆」・・・なかなか売っていない・・・を入れるとすぐ煮えて歯ごたえのよい「豆入りぞうすい」が出来て便利。
普通のマメは1昼夜水につけておかないと煮えないのだが、押し豆はそうしなくてもいい。

 すっかり長湯になったところで、湯冷めしないように布団に一気に入る。
それでもって、ポケットPC(HP 568)に、ばかみたいな内容の日記を数行書くと、睡魔がおそってきて爆睡状態になるのだ!



2月28日
 
 厚生労働省主催の「心の健康づくりシンポジウム」に行ってきた。


 憧れの・・・スズキはすぐあこがれるのだけど・・・自殺学の大家、高橋祥友(よしとも)先生のお話があるというので、年休までとって出かけたのだ。


 老若男女、いるはいるわ九段会館の大ホールは満杯状態。なにせタダのシンポジウムでいよいよ国も対策に本腰を入れ始めたと思う。さすがに先生の「自殺の予防と対応」の解説は、わずか15分少しというのに、スマートでわかりやすく、要点をつかんでいた。スズキがいつ高橋先生のファンになったかといえば昨年末、「自殺の危険」金剛出版(4500円)を読んでからだ。


 さて印象として、どうもピンと来ないことがある。 「ひとりで思いつめさせないために」というのが、シンポジウムの副題だった。思いつめる、というのはよく使うが、「思いつめさせる」というのは変な表現だ! 職場のメンタルヘルス対策として、旧労働省の指針では、ビジネスマンの自己責任ではなく、職場管理者の責任を重視していた。今回のシンポジウムでは具体策に一歩踏み出していた。
 

 つまりセルフケアを進めるために、簡易ストレス調査票を、「労働者の気づき」を促す柱として普及に力を入れているということ。わずか57項目という簡単さが嬉しい。自己診断ができるのはいい、本当に。ただ、これを健康診断でやるのは役立つけれど、午前中の藤田 定先生(愛知教育大)も言っていたように、入社時の健康診断でやるとまずいことになる。就職差別が生まれかねないから。そうはいっても、メンタルヘルスを職場のリスク管理、と考える企業担当者は多い。


 日本人は血液型性格診断のように、非科学的であっても、キャラクターを簡単に色分けすることが好きなのだから、簡易ストレス調査票が悪用されないように願うだけだ。それから、このシンポジウムは確かに実用的だったけど、どうもハイリスクアプローチ(危険な社員をえり分け医療にのせる)が主で、予防の見方が少なかった。
出向転籍、単身赴任、そしてガンガンとリストラがすすむ中、こういうストレッサーをコントロールをしないのか?

 
社員に気づきを促したとしても、メンタルヘルス・クリニックの受付時間をはるかに過ぎる退社時間では受診はすすまないのでは? メンタルヘルス対策が雇用破壊の後始末にならないことを祈る。

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