人事・総務担当者のためのメンタルヘルス読 

人事・総務担当者のためのメンタルヘルス読本鈴木安名 著 新書判・189頁/850810)円

2005年10月(財)労働科学研究所出版部 発行
電話による御注文は044−977−2121 上記出版部あてにどうぞ。

 



2006年1月ごろには、この本の図表、マニュアルをWEB上でダウンロードできるように
する予定です。読者に限って使用無料!
わざわざPC上で再入力、OCRする必要はありません!
はじめに

この本は人事、総務の皆さんのために書きました。

 わが国でメンタルヘルスが問題になっているといっても、現場の管理職にとっては他人事です。うつ病が増えたとはいっても、診断書が出て1ヵ月以上休職する社員(職員)は全体の1〜2%です。圧倒的多数の管理職にとって、部下のメンタル休職は年賀はがきのクジに当たるようなもの。

 でも皆さんは違いますね。人事、総務あるいは労働安全衛生に携わる方々にとって、当たる確率は高く、時には仕事のストレスともなります。社員300人の社で、もし30日以上心の病気で休む人が年間3名いたとすれば、それはみんな皆さんの肩に背負わされるのです。

 筆者は講演などで「メンタルヘルスはどこでも悪化していますよ〜」と話しますが、役員や現場の管理職にとっては気の休まるコメントでしょうが、問題に直面している担当者にとってみれば、気休めの言葉にもならないでしょう。「私の仕事、何とかしてくれよ。ただでさえ忙しいんだ! これ以上仕事を増やさないで〜!」というのがホンネでしょう。

 でも目の前の仕事をこなさなければならない。で、本(メンタルヘルス本は300種類近く出版されています)を読む。時には高いカネと時間をかけて、セミナーに参加する。でも、「どうもピンとこないな」とか、「理屈はわかるけど、わが社にはそんな予算や人材はナイよ」、あるいは「私ら、メンタル問題だけにかかわるヒマはないのだ」と、欲求不満を抱えて会社に戻る。そして、またまた休職の診断書が出て、今度は現場の管理職から「俺はどうすれば良いんだ?」と泣きつかれる。

 「これは、やばいかも……」と思っても、役員クラスは関心はないか、あったフリはしても「君に任せた」というわけですが、例によって予算はほとんどつかない。

 そりゃそうですよね、会社は利益を追求する場であって、リハビリセンターではないから。

 でも、皆さんは日々仕事をこなさなければならない。中には、少数派でしょうが、「メンタル問題を自分のスキルアップにつなげよう」という先見の明のある方もおいでかもしれません。

 そんな皆様のために、この本を書きました。できることから着手して、ご満足がえられるようなツール化、マニュアル化に努めたつもりです。特に、保健職のマンパワーが乏しく産業医が機能していない事業所で、メンタルヘルス対策が立てられるよう実用的に書きました。

 

目次の概要

第1章 経営の視点からメンタルヘルスを考えよう!

 第1節 メンタルヘルス山の三角 

1.休職・欠勤の増加 

2.ミスや事故の増加 

3.犯罪とモラールの低下

 第2節 企業収益への悪影響 

1.労働日数の喪失 

2.仕事の能率低下とミスの増加 

3.傷手当・医療費の増加 

4.自殺等への訴訟費など 

5.うつ対策は企業収益に貢献する

 第3節 自覚症状は〈3つの「い」〉 

 第4節 発見のための〈ケチな飲み屋サイン〉 

 第5節 受診の勧め

 第6節 日々のメンタル対策 

1.あいさつ 

2.自分の脳を守る改善活動 

3.職場のストレス対策の実例

 

 事例@高学歴者の挫折 

 事例A月の欠勤 

 事例B持ち帰り残業とアルコール依存 

 事例C超多忙職場のストレス対策

 

第2章 メンタルヘルスの実務

 第1節 名の意と主治医との交流 

1.名の意 

2.三者面談 

3.三者面談をするときのポイント

 第2節 休職中の社員との情報交換 

1.休職時の連の取り決め 

2.職場情報の提供

 第3節 職場復帰の判定 

1.復職診断書の導入 

2.適切な復職プログラムをつくる 

3.どの部署に復帰させるかは慎重に 

4.職場復帰判定基準(例)

 第4節 復職後の対応 

1.担当者の対応 

2.上司の業務面での対応

 第5節 安全配慮義務と個人情報の保護 

1.安全配慮義務は債務 

2.プライバシーの保護 

3.担当者の立場とは?

 第6節 メンタルヘルスと就業規則 

1.復職の判断は慎重に  

2.休職期間了のリセットへの対応 

3.復職希者に対する実務的対応 

4.就業規則の改定 

5.労務提供能力の判断は慎重に

 第7節 迷惑をかけて攻撃的なケース

 

事例D長期休業 

事例E裁量労働は外す 

事例F通算して2年半の休職の後、復職成功 

事例G思い切って転職して成功 

事例Hプライバシーの保護と人の了解 

事例I職場をかきす社員

 

第3章 産業医をプッシュする 

1.嘱託産業医の機能度チェック 

2.産業医の労務管理 

3.交渉手順 

4.交渉の内(例) 

5.産業医と接する2つのポイント 

6.ともに学べる場をセッティング

 

第4章 対策の実践 

1.構えずにできることから 

2.どんなことが可能か? 

3.メンタルヘルス勉強会を企画する 

4.トップへの訴えと合意形成

 

第5章 Q&Aと理解度チェック