若いナースに
                      燃えつきをへらすにはどうすればよいのか考えてみましょう!
                                           

0) はじまり


 朝食はおいしいですか? よく眠れますか? すっきりウンチ出てますか? 
 太ったり痩せたりしすぎてませんか?

よく動けてますか?

ホント看護婦・士さんの仕事は大変! ライセンスを取れば食べていける職業だけど。
注意) 以下、看護士の方は看護婦になったつもりで読んでください。


1) ワーキングパワ−の再生産とは?
ナースが毎日 そこそこに生きて、それなりに働ける状態に保たれていれば
「ワーキングパワ−が再生産されている」といいます。
ワーキングパワ−=働きそして生活するパワー

なに? い、いきなり難しいじゃん!

たとえばあなたがごく平均的な2年目のナースなら

まずはお仕事
内科のナースならIVHの介助は出来るし、気管内挿管の準備やレスピレーターのある程度の管理はできるかもしれない。でもカンファレンスでは思うようにしゃべれないし、患者さんがどれだけ重症か、なんていう判断はもちろん自信ないだろう。まあ新人ではないから夜勤もやれるね。もちろん不安と緊張の連続で「明け」はボワーッとした頭だけれど。まだまだ体力あるから無理すれば夜勤明けにだって友達とドライブくらいは行けるヨ!

それからプライベート
衣食住     まあ普通の部屋にくらし
          着れるような服を着て
          食べてるようなものを食べ     
娯楽  遊ぶような仕方で遊べて(スノボー、コンサート、旅行・・・人さまざま)
教養  勉強できて
家族  春夏秋冬一年中がパートナーと
恋する季節、いなけりゃ家族とそれなりに過ごせる
そしてもちろん健康ということ 

そーゆーよーな、お給料などの待遇面ばかりでなくて、ナースのお仕事とプライベートな時間もそこそこ元気で過ごせる時、皆さんの「ワーキングパワ−が再生産されているといいます・・・ワカルカナ?

まあ雰囲気でいえば、色々文句はあるけど社会人として、そこそこ生きてるって状態。そこそこ、それなりに・・・「平均的な」って意味かな? そして昨日も、今日も、明日も、多分4年後も



2) 4年後も健康にはたらけるというのは?

 「ワタシはその頃、カレと幸せに暮らして専業主婦になってるから」、というハッピー(?)な
未来予想図がもう描けている人は別にして・・・

4年後は看護技術も、責任も、そしてお給料もアップしているけど、心身ともにそれなりに元気で働けていたらいいですネ!
でも、何で筆者は「4年後」というのでしょう? オリンピックがあるから? ノーノー!
「燃えつき」は卒後5年目くらいで起こる。ここをしっかり乗り越えられたら、まず定年までもチャンと働けるのです。でも職種に関係なく40歳前後もやばいみたいですが・・・。

病院は大事な大事な皆さんを、せめてそこまで守り育てる社会的責任があるのです。婦長さん、総婦長さんいいですか?



3) ワーキングパワ−が消耗?

燃えつき、からだの病気、こころの病気になって、看護婦としての仕事ができていない状態を、ワーキングパワ−が再生産されていないといいます。

ワカリマスカ? その度合いにはさまざまあって、

@ 何とか働いてお給料もらっているのだけれど、まともな社会人として生きていけていない状態。
はた目ではそうは見えないし、本人もそう思ってはいないところに、この状態の怖さがあるのです。

A 病気になって休んでしまう。心の病気は治るまでにずいぶんと時間がかかるのです。

B 退職してしまう

C うつ病になって不幸にも自殺してしまう

 こういう状態(ワーキングパワ−の再生産ができていない)を、もらっているお給料の金額にかかわらず、
「貧困」 (ヒ〜ン・コ〜ン・・・さむい響きですね) と呼べるのかもしれません。
ナース個人としておカネのない貧困は困るけれど、こういうワーキングパワ−が消耗しているナースが多い職場はいったいどうなるのでしょうか?

そこではモチロン医療事故やヒヤリハットがあふれているのです。
モチロン事故やミスは皆さん個人の責任ではありません。ミスの引き金を引いたのが直接あなただったとしても、そうなる職場の原因があるのです。ここを無視してナースの医療事故賠償保険なんちゅうのが流行っているけれど、ミスや事故は減らないのです。                      



4) 燃えつき、こころの病気って?

からだの病気はしっているでしょ! 
さて燃えつきの症状には色々あるけど・・・

@朝起きて、病院にいきたくない
A仕事に対する自信がなくなって、不安ばかり感じる
B仕事の上で、決断できなくなり時間がかかってしまう
C患者さんの苦しみを見ていても、感情が麻痺してしまっている
Dそういう自分に悲しくなって涙ぐんでしまう、自分を責めてしまいみじめになる
E何もしたくない
F眠れない、食欲がない、とってもだるい
Gカレシと会っても楽しくない(これは重症燃え尽き)


燃えつきの出る職場や病院の特徴・・・これは簡単ひとことで言って、
とても忙しいだけでなく、ナースの意見が通らない、まだ技術も経験も未熟なのにプリセプターして若い子たちを教えなければならない、とか



5) 4年後もそこそこ元気で働くためには・・・くどいけど「ワーキングパワ−の再生産」
はどーすればできるの? ちょっとむずかしいけれど

(ア) 病院経営者の経営責任
働かせすぎはないかな? 労働安全衛生法は守られているかな? 安全衛生委員会の活動を保障しているかな?
(イ) 皆さんのナースとして集団の責任=労働組合の責任
ちゃんと経営をチェックしているかな? 安全衛生委員会で活動しているかな?

(ウ) 皆さん個人の責任が果されること
  コレは大事なことだけど、皆さんの責任ばかりが強調されていないかな? 
ナースの立場は弱いものですね。でも、まあナース個人が年休をとることをしなくなって同僚に気兼ねばかりしていれば、カラダも心も傷んでしまう恐れがあります。より良い職場作りをしましょう!

 まあ、「いやな職場はドンドン辞めて次に移ろう」というのも良いのですが・・・
ライセンスがあるから、確かにOLの方々とは違って転職も簡単だけれど、それって要するに使い捨てされているということではないですか? 転職していけるのはせいぜい30歳まで。
あとは病院すなわち買い手市場です。ベテランのナースは欲しいけれど人件費が高いから雇わない、っていう経営者が多いからです。


補足 管理職の皆さんへの問題提起

婦長さん、主任さん読んで下さい。 あっ! 別にスタッフのナースが読んでもいいですよ、・・・

まったく医療界も大変です。この4月から小泉改革のために収入ががっくり減る。

総婦長や副総婦長からは
「病院の生き残りをかけて、他と差別化をすすめ、医療の安全性と信頼性、そして快適性を高めなければならないのです。患者さまへの対応も大事ですが、平均在院日数を短縮するためにはどうしてもパス(Clinical path)の導入が必要で、看護の標準化をなしとげなければならないのです・・・・」などなどといわれる。

そして管理職の皆さんは若いナースにこんな風に言わなければならない。

「すぐれた看護技術を身につけて、眠い・だるい・イラつくときもいつも笑顔で、ミスがなく、学習にはげんで看護学会で発表。、もちろん仕事とプライベートも両立しましょう! 仕事で自己実現しましょう! 今はできなくても、人はだれでも成長できるし、大きな可能性をもっているのです。多少はつらくてもがんばりましょう・・・・」

などなどなど、婦長・主任は看護婦の理想像を追い求めますし、そう指導する責任があります。
チョット待ってください! その結果、今、何が起こっていますか?

 人間が働いたり、活動したりする能力には一定の限界があるのです。

 しかもその能力の限界には、さまざまな個人差があります。優秀で若くして婦長になったとか、
日のあたる場所しか経験してこなかった、つまり挫折した経験のない方にはこのことが解らず、自分自身の基準を他人に求めてしまう傾向があります。しかも幸か不幸か人間は若い人ほど適応力が優れており、多少の無理な仕事や活動もがんばれば達成してしまうのですね。

 達成しても次の仕事や課題が待っている。能力の限界を超えて仕事や研究に頑がんばりを求める姿勢は、労働安全衛生に無知であることから生まれます。

 しかし日本の病院経営者や管理職に労働安全衛生は教育されてきませんでした。人の命をあずかる職業・業種なのに・・・。

 医学の進歩を眼にしていると、人間の能力には限りがないように思えてしまう。メンタルヘルスが悪化しているのに、そこそこ仕事をこなしてしまう能力のある人もいます(本人はとても苦しいのですが、それを言い出せない)。

 これが「燃えつき」が多く、病院、診療所によっては長期休業の理由のトップが精神疾患である理由です。そしてその人の豊富な実績と力量が「燃えつき」やうつ病の初期症状を
カモフラージュしてしまうのです。

 筆者には施設拡充が活発な病院グループで、メンタルヘルスが悪化している職員が多い印象をうけます。
病院経営のありかたが営利とか、非営利とかに関係なく、働きすぎ、働かせすぎは心身を破壊するのです(ワーキングパワ−の再生産がなされていない状態になる)。

チョー難しいネ、管理職は大変ですね! 
筆者は、大事なだいじなナースのみなさまが、末長〜く働いて活動できるにはどうしていったらよいのか、燃えつきない程度に研究しています。なかなか答は見えてきませんが・・・皆さんも一緒に考えてみませんか!

* 参考 どんな優れた特徴も、度を過ぎれば逆の存在になってしまう。
これを哲学、つまり弁証法では「対立物への転化」といいます。
たとえば男女の気持ちでいえば、
別れの予感のようなものは、これ以上愛するなんて私にはできないと感じた時に生まれるものでしょう。もっとシンプルなことわざでいえば、「可愛さあまって憎さ百倍」 「楽は苦の種、苦は楽の種」 「過ぎたるは及ばざるが如し」 

セルフチェック:このレジュメの中で女性シンガーの歌った曲の題名が6つ隠れています

一つもわからない・・・危  仕事で燃え尽きそう! お大事に!
一〜二つ・・・・・・・・・・並   活動の場として、カラオケボックスを一度考えてみる?
三から四・・・・・・・・・・・上  まあまあ、それなりに日々を過ごせるかも   
五つわかった     特上  あなたの喉を大切に、燃えつきも自己実現も職場次第だよ! 
全部歌手も・・・・・・・大盛り 相当好きですね! だけど、それなりに歳とってますね 
七つ以上わかった・・・奇   ??? そういうあなたは誰?

それでは 皆さん、
Be alibe (これはわかるね、小柳の曲だよね) 
サビは確か、「いつまでもこの思いは変わらぬまま、必ずここにあるはず。遠すぎる見えない答、だけどみんなで探しつづけたい」・・・だったかな?
みなさんにとって 「この思い」 はなんでしょうか? 
自分自身を大切にすることを忘れず、そして日々に流されていかないように

                             
                             
                             
                                                 おしまい